本研究の目的は、単身者割合の高い東京圏を取り上げ、単身者の居住状の男女差を明らかにした上で、その要因を分析することである。このため、まず単身者の住宅事情及び居住地構造における男女の違いを見るため、国勢調査及び住宅・土地統計調査のデータをもとに分析を行い、県レベル、市町村レベルにおいて地図化を行った。居住状況の男女差の要因を、単身者の年齢や配偶関係などの個人の属性要因、所得などの経済的要因、さらに価値観要因に分けて検討した。東京圏については、目黒区等の都心の西エリアにおいて相対的に女性単身者の比率が高いこと、川崎等の地域で男性高齢単身者比率の高いこと等が明らかとなった。 平成12年国勢調査の基本単位区別集計及び平成7年、平成2年、昭和60年、昭和55年の国勢調査小地域集計について、地域別に経年変化を分析するためにデータの整理を行った。小地域集計に関しては、郊外ニュータウンや団地などの入居時期が特定できる地域を選びだして分析を行った。集合住宅団地などにおいて、高齢化と共に単身化が進行する実態を把握した。入居時期により、ボリュームゾーンの年齢階層が異なっている。 また、近年増加している単身者は、家族の変化やライフスタイルの多様化と密接に関係するため、家族の変化と生活スタイルと住空間の関わりについて考察を行った。特に、高齢単身者のライフスタイル及び居住状況について、多摩ニュータウンの集合住宅を対象として、住まい方のヒアリング調査により定性的な分析を行った。
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