研究課題
基盤研究(C)
本研究は、3カ年の研究期間で情報(視覚・聴覚)障害者の探索行動からみた情報補償環境のあり方に関して、調査、実験を行った。視覚や聴覚に障害を持つ被験者が実験的に常時参加する事が困難な背景があることから、擬似的に再現実験可能な実験システム(WASS)の開発および信頼性検討を行った後、1.WASS環境による情報障害レベルごとの擬似的環境の再現による探索行動実験、2.その結果から情報補償環境計画に関わる要件の整理を行った。さらに、3.海外での研究発表による情報交換、および今後の展開として、WASS環境による環境診断についての検討および課題を整理した。以下に、その具体的な内容を記す。1.WASS環境による情報障害レベルごとの擬似的環境の再現による探索行動実験:2年間で開発し、有効性を検討したWASS環境で、具体的な情報レベルごとに擬似的環境を再現し、そこでの探索行動実験を行った。具体的には「弱視」、「霧視」の2種類の情報障害について探索行動実験を行い、そこでの探索行動特性、視認行動特性を明らかにした。2.情報補償環境計画に関わる要件の整理:情報補償環境として情報障害レベルに応じた情報補償のあり方を考察した。特に、環境に初めて訪れたときの情報補償のあり方、次第に環境に適応したときの情報補償環境として、初期段階ではサイン情報が中心であるが、その後空間的な特徴(てがかり)が重要であること、その手がかりとなる場所が探索行動におけるアンカーポイントとなること、などの要件を示した。3.海外での研究発表による情報交換:すでに2年間で行った研究成果を国際学会で発表し、研究交流を大なった。本研究の意義を国際的視点からみたとき、情報障害のある利用者について検討した先駆的研究であると評価された。しかし、施設におけるケーススタディにとどまっているため、他施設での有効性の検討が必要である点、その研究結果を活用されるまで整理されていない点など、今後の課題も明らかになった。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (10件)
日本建築学会近畿支部研究報告集
ページ: 405-408
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日本建築学会大会学術講演梗概集
ページ: 923-924
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Journal of Kinki-shibu, AIJ
Proceeding of AIL