盲導犬使用者は、盲導犬によって移動時における近傍の危険を回避することができる。しかし、目的地の経路を検索することは、あくまで人間の役割である。新しい場所に行こうとするときは、予め本人が経路を調べておいて、その情報を記憶し歩行現場で再生することで、経路探索が可能となる。一方、近年はICタグなどの普及により、建築・都市空間における位置検知のための技術が格段に進歩してきたといえる。したがって、位置情報を発信する何らかのランドマークを環境側に備えることで、空間を知能化すれば、小型化されたコンピュータを携帯することで地図データベースを利用することで人間側に負担をかけずに、視覚障害者に経路探索情報を提供することができる。本研究では、以上のシステムを前提として、そこにおける位置情報の提供方法の考察をおこなった。具体的には位置コードの空間的な配置規則を提案し、それに基づいた経路探索のアルゴリズムの考察をおこなった。ここで留意された事項は、歩行者が使う経路においては、車道とは異なり、すべての経路が既知であるという前提は現実的ではないこと、したがってダイクストラ法などは適用しないこと、一方で迷路の探索における全く目的地の位置がわからない場合ではなく、ある程度、目的地の方角がわかる場合として用いられる、トレモー法に近い手法が有効であることなどである。以上についてKheperaロボットが走行する迷路盤を作成し、シミュレーション実験を行った。
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