盲導犬は、経路上の障害物を回避することが出来るが、経路探索には視覚障害者自身の判断が必要であり、それを支援するために、電子ディバイスからの情報が必要である。この電子ディバイスに求められる機能は、カーナビゲーション・システムにおいて既に実用化されている。しかし、盲導犬使用者の利用に際しては、特別な仕様も求められる。それらは次のようにまとめられる。 1)現在地を検知する機能:屋内での利用にも対応できるRFIDタグなどからの位置情報取得 2)目的地を登録する機能:視覚障害者にも分かりやすい入力用インターフェイス 3)現在地と目的地から最適な経路を選択する機能:小規模で無数に存在する歩行者用経路(経路ネットワークが既知でない場合)に対応した最適経路推定の技術 4)選択した経路の情報を音声で伝える機能:視覚障害者の歩行に必須な情報の定式化(オーディトリーマップのマニュアル化) 本研究では、特に3)4)についての考察を中心として行い、建築・都市空間のもつ階層的構造を表現すると同時に、それらのオリエンテーション情報を算出できる空間インデックスの開発が必要であることを論じた。そして、そのコード情報を発信するRFIDタグなどの参照エレメントを配備することで、建築・都市空間は知能化されることになる。
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