研究概要 |
大学内CNESにある5層2列からなる植物汚水浄化実験システムを利用して,【研究1】家畜糞尿を用いた植物汚水浄化システム(葦・ガマ・トマト・浮き草使用)、【研究2】準閉鎖系環境でのアクアポニツクス手法による浄化・バイオマス生産システム(葦・ガマ・トマト・浮き草・コイ)開発の実験を実施した。海外事例として文献により欧州事例及びキューバ国ハバナ市内の植物汚水浄化プラントの現地視察で,最新情報からその意義とその可能性を明確にした。 【研究1】では,T-N濃度は初期値7.2mg/lが1.9mg/lに,T-P濃度は初期値1.82mg/lが1.37mg/lに減少した。無機態窒素については,NH_4-N,NO_2-Nはほぼ分解されNO_3-Nが少量残留する結果となった。NH_4-Nの吸収能力が優れているヨシとガマの効果が一定評価できた。【研究2】では常時コイの槽から他の植物層内に排泄負荷が流入してくるにも関わらず,一定レベルの濃度以下を保つことに成功しており,植物による浄化とバイオマス生産の評価ができた。また動物バイオマスであるコイと水質との因果関係についてみると,コイのバイオマス量は時間に比例して増加し,同時に排泄する負荷量も増加するのに対し,本システムが一定レベルの負荷濃度を維持していることは,コイの排泄負荷量の植物体による吸収機能が,一定以上の負荷量増加を抑制したと考察できる。 植物バイオマスの変化は各研究共通でミニトマトに着目した。【研究1】多量の窒素,リンを含む家畜糞尿を吸収して成長したミニトマトでは収穫量は多かったが,1個あたりの重量では【研究2】窒素,リンが比較的少ない魚糞尿を吸収して成長したものの方が大きかった。
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