研究概要 |
<日的>本研究はCNESリビングマシーンで【研究1】家畜糞便を汚水負荷とした植物汚水浄化システム,【研究2】閉鎖循環系で養殖と野菜生産の複合系アクアポニックスシステムの開発に向けた継続的な実験的研究である。 <方法>【研究1】では嫌気発酵槽の豚糞溶液(約1年間貯留したもの)約300Lを1槽に投入し1日2時間曝気を行い1〜5槽での循環実験、【研究2】ではコイの養殖排水の負荷をもとに2〜5槽で農作物の生産を行うシテムで、[実験1]2から5槽循環システムによる栄養塩吸収能実験、[実験2]各植物固有の栄養塩吸収能実験を行い,個別に[実験3]単位重量ごとのコイ1尾あたりのDIN,DIP排泄速度測定実験を行った。 <結果>【研究1】では豚糞負荷除去率はTNで20%(DINで14%),TPで62%(DIPで24%)であり、一定の効果が見られ、特にリンにおいて効果が見られた。尚実験では曝気を行わなかったため懸濁態は槽の底に沈殿したことが考えらるため,補足として最終採水後曝気による沈殿物の攪拌を行い水質測定を行った結果,窒素についてはあまり変化はみられなかったが,リンについては有機態リンが著しく増加した。【研究2】の[実験1]では栄養塩吸収率はDINで70%,DIPで70%であった。[実験2]では栄養塩吸収率は,DINは水稲で42%,トマトで100%,クウシンサイで76%,ハーブで100%であった。またDIPは水稲で-56%,トマトで54%,クウシンサイで52%,ハーブで86%であった。[実験3]の結果を[実験1]にあてはめると,本システムで植物は1日あたりコイ(90g/尾)が排泄するDIN量で22尾分,DIP量で264尾分の栄養塩を吸収することが推測された。植物のエディブルバイオマス量はトマトで564g/m^2,ハーブで1,280g/m^2,クウシンサイで2,670g/m^2,尚トマトの平均糖度は6.3%(最高9.1%)であった。またコイ1尾あたりの平均体重は90gから264gになった。
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