本研究は、利用されていない古民家をどのように再生、再活用するかを調査研究したものである。特に関東地方を中心に網羅的に調査を行った。把握できた転用古民家は203件であった。これらは必ずしも公共的な利活用ではなかった。文化教養教育施設への転用が最も多く、次に商業施設、コミュニティー施設が続いた。特徴的なのは福祉施設であり、グループホームや宅老所などの積極的な利活用が見られた。 これらの事例の中で10施設について、アンケート調査及び現地実態調査を行い、運営管理上の問題点を把握した。 1.古民家転用する場合、文化財としての保護指定を受けている場合は改造に制約がでる。しかし文化財指定を受けている古民家はそう多いわけではなかった。登録文化財程度の制約の少ない指定である場合、広報にもなるとのことである。法的な問題では、転用する用途の法規定である。例えば介護保険の適用を受けるためには、居室、設備、面積などの条件をクリアーする必要がある。宿泊施設の場合は旅館業法の適用を受ける。 2.改修費用は多くとも1千万円程度には収まっていた。古民家はバリアフリー、水回りの改修が多い。しかし古民家の改修は古い雰囲気を活用する場合が多いので、大掛かりな改修にはなじまないと思われる。 3.運営は市町町営、NPO、社会福祉法人、任意団体と、多様であった。福祉施設系は社会福祉法人が運営しているものが複数あった。 4.古民家の長所は用途を問わず開設までの時間が短いこと、建設改修費の安さ、親しみがある事などがあげられた。短所は空調、補修め必要性、建具の建て付けの悪さがあった。しかし短所はあまり強く感じていなく、古民家の親しみやすさが使いにくさよりも優位にたっていることが分かった。
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