高齢者向けにケアサービスの付加された住居としてのシルバーハウジングにおける生活支援・LSAの役割と比較検討することをねらいとして、新しい高齢者向けの居住施設である、高齢者向け優良賃貸住宅についてとりあげ、調査研究を行った。 具体的には、民間事業主により計画が進められている高齢者向け優良賃貸住宅を事例としてとりあげ、計画地周辺の住民を対象に調査を行い、高齢者向け優良賃貸住宅に対する入居ニーズの把握と地域の中で果たすべき役割について、分析考察を行った。調査の結果から以下のことが明らかになった。 (1)地域に居住する高齢者の居住に対する不安について 地域の高齢者は持ち家に居住しているものが多く、現状では住宅に困っていないものの、住居でのけがの経験がある人は全体の約4分の1おり、便所、浴室や玄関の段差等、日常生活にかかせない場所に不便を感じている人がいる。 (2)生活支援ニーズについて 身体や健康、介護、緊急時など、現在の生活に不安を感じている人が多く、特に一人暮らしの高齢者でその割合が高くなっている。 (3)地域住民との交流について 話し相手が欲しい、地域で交流する場所、相談相手が欲しいといった地域における交流ニーズがみられた。高齢者の住まいと合わせて、地域住民が気軽に交流できるスペースが求められている。 (4)高齢者向け優良賃貸住宅への関心度について 当面は、現在の住まいに住み続けるとしながらも将来的には、高齢者向け優良賃貸住宅に関心があるものが6割おり、関心度が高いことが明らかになった。
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