研究課題/領域番号 |
14550632
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
建築史・意匠
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
飯淵 康一 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80091651)
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研究分担者 |
永井 康雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30207972)
田中 正三 東北大学, 大学院・工学研究科, 教務職員
岡田 悟 共立女子短期大学, 生活科学科, 教授 (30233331)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 木割 / 江戸時代 / 桃山時代 / 建築技術 / 庄内藩 / 四天王寺流 / 建仁寺流 |
研究概要 |
庄内藩の大工棟梁小林家に伝えられた膨大な史料が鶴岡市郷土資料館に寄託されている。この史料の全容を把握するために目録を作成した結果、年代は天正5(1577)年から昭和20年代迄の凡そ370年間にわたり、内容は藩政時代に藩によって建てられた諸建築に関するものや、明治以降に庄内地方で建てられた公共建築に関するものが多数含まれていることが明らかになった。本研究では江戸時代以前の史料556件(946点)を対象とし、全てを写真撮影した。これら史料には、全国的に極めて類例が少ない中世末期から近世初頭期にかけての建築技術書が多数含まれていた。我が国の建築技術の大きな特徴の一つとされる木割は、室町期にその原型が成立し、江戸期に建仁寺流と四天王寺流の二大流派の成立を得て大成したとされる。従来の研究では、この過程における技術的変化や流派成立の時期などについて必ずしも明らかにされていなかった。とりわけ小林家史料中の室町末期から近世初頭にかけての多数の建築技術書は、これまで史料の上で空白とされてきた時期を埋めるものであり、上述の諸問題を実証的に解明する上で極めて大きな意義を有するものであることが明らかとなった。それら史料の記述内容を分析した結果、これまで知られていなかった多数の木割方法が存在していたことが明らかになった。同時に幕府及び諸藩の大工棟梁家に伝来した建築技術書類を調査し、諸史料に記される建築物の一覧表を作成した。これらの成果は、建築遺構の解析や復元・修復の分野においても多くの情報を提供できるものと考える。また、小林家史料には鶴岡城内の諸建築物を始め庄内藩領内に建設された主要な寺社や藩主の休泊施設などに関する図面や史料も多数含まれていた。それらの史料は詳細な図面類が多く、庄内藩の諸建築の具体的な内容を示すのみでなく、住宅史、社寺建築史などの諸分野における基礎的史料であると考えられる。
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