明治から大正にかけての御雇外国人建築家ジョサイア・コンドルについては、かなりの研究の蓄積がある。本研究の準備段階において、すでにコンドル書簡群についてもその所在情報は収集されているので、最初の段階の作業は史料の整理となった。年代別、主題別の整理によってコンドルの活動形態と活動領域が明らかにされた。コンドルの書簡は、三菱社関連のものが多く発見され、グラバーとコンドルを巡る緊密な関係などが明らかになりつつある。丸の内のオフイス街建設に当たってのコンドルと三菱社との関係には、これまで知られる以上の深い連繋があることが明らかになった。 下記に述べる校訂作業に入るために、参照すべき図書資料の収集を行なった。コンドルの活動領域が広いため、これまでの研究資料ではカバーしきれない領域の図書資料が必要になるので、同時代史料の購入をおこなった。コンドルと耐震建築の関係を考えるためには、震災関連の資料の収集が必要であった。また、データ整理のための機器の整備も合わせておこなった。 ついで史料の翻訳と校訂作業に着手した。これは複数の研究協力者のチームの成果をも参照しながら行なう性質のものであった。すでに紹介されている書簡としては、遠藤明久によるもの(開拓使関連)、石田繁之介によるもの(三井関連)などがまとまっているが、これ以外の部分を合わせて、全体像を描く作業が進行中である。この段階で、国内における関連施設での調査が必要となった。 国内外での調査をもとに、翻訳の検討を行ない、校訂を進行しつつある。
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