1.資料の整理 後藤慶二資料は、日本近代建築史上著名な建築家・構造家の後藤慶二(1883〜1919)が生前に作成・蒐集したもののかなりの部分が伝えられたもので、図面や書籍(その多くは洋書)、スケッチ、日記などの個人資料などからなる。後藤の遺族が大きめの段ボール箱36個に納めて保存してきたものであるが、その中はまったくの未整理状態であったため、その学術的重要さは十分想像されても、これまでその実態は把握できないままだった。そのため、まず同資料を1点ずつチェックし、その内容や、作成年などを検討したうえで、データベースに入力する作業を続けている。今年度は同資料の約1/3の整理・データベース化を完了した。あわせて、断片的な資料をビニールシートに入れて保管の便を図ることも行っている。 2.重要と思われる資料の写真撮影およびデジタル化 整理の過程で重要な資料と思われるものが発見されるごとに撮影を行い、あわせてそれをデジタル情報として保存する作業(CG使用)を続けている。 3.これまでに確認できたこと これまでの調査で、後藤慶二の建築観や、構造学についての知識を知るうえで意味があると思われる資料が少なからず含まれることが確認できた。また、スケッチなどから後藤の嗜好がうかがえること、さらには、彼が蒐集した文献に、構造学についての知識の形成過程を考察する手がかりがあることも確認できた。
|