本研究は、東京都中央区の「銀座」を対象にして、そこに設立された商店・事業所の建築機能の分布を明らかにして、日本を代表する繁華街・銀座の都市的特性を考えている。 銀座の名前をもつ町の範囲は時代によって変化しているが、ここでは、その範囲を京橋、芝口橋、数寄屋橋、三原橋といった、掘割にかかる橋に囲まれた地域に限定している。時代的には、昭和28年、昭和40年、平成11年という、日本の近代化過程や、戦災、高度成長、バブル経済といった、銀座が大きく変わった3つの時代について調べている。調査の方法は、一軒ごとの商店・事業所について建築機能を明らかにし、情報文化機能、業務管理機能、社交娯楽機能、買い回り品販売機能、生活関連機能、飲食食品機能の6つに分類し、さらにその機能を14の施設などに分類し、地図の上にその位置をおとしていくことで、銀座が、それぞれの時代にどのような特性を持っていたか、さらに時代と共に、その特性をどのように変化させていったかについて考えている。その結果、第二次大戦後の銀座が時代と共に大きく成長していく過程で、より広域的な人々を相手にする商店街に変化していった点や、都市が変化していく過程で、前の時代の痕跡を引き継いでいることなどが指摘できた。 現地調査のほか、用いた資料は時代によって異なるが、それぞれの時代につくられた、広域的な地図、案内書、住宅地図、写真、職業別電話帳などを利用している。
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