研究概要 |
Au-Pd, Au-Pt系についてコア・シェル構造をとる作成条件の確認を行った。得られたナノサイズの微粒子のサイズ及び構造をX線回折、透過型電顕、高分解能電顕、^<197>Auメスバウア分光で評価し、触媒活性を調べる装置を構築した。Au-Pd系では、出発物質にNaAuCl_4,PdCl_2・2NaCl及び反応促進・微粒子保護の添加剤としてドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を加えた水溶液を使用し、周波数200kHz,出力4.2W/cm^2,20℃で超音波照射を行うと、コア部がAu,シェル部がPdとなるサイズが10nm程度の単分散の超微粒子が得られた。サイズは出発物質、添加剤の濃度をそれぞれ調整することにより制御できることが明らかとなった。一方、Au-Pt系ではNaAuCl_4, H_2PtCl_6を出発物質、添加剤としてポリエチレングリコール(PEG)水溶液を用いた場合には、Auがコア、Ptがシェルとなるコア・シェル構造となるが、Au-Pdの場合と異なり、コア部からシェル部にかけてPtの濃度が傾斜的に変化する疑似コア・シェル構造をとる傾向があった。^<197>Auメスバウア分光の結果、Au-Pd系ではAuスペクトル以外の界面に関係すると考えられる第2成分の存在が確認出来た。この存在比は界面を1層とした場合の強度よりは大きく、界面近傍のAuは数層にわたってPdの影響を受けていると結論した。触媒活性に関する予備実験では市販のPdブラックよりは大きいことを確認した。Au-Pt系ではスペクトルが正速度側にシフトしており、その理由は電顕の観察結果から考察するとAu原子の周囲のPt原子の分布に由来すると考えられる。
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