研究概要 |
近年、Bi_4Ti_3O_<12>(BIT)系強誘電体薄膜は、希土類元素(La,Pr,Nd,Sm,Gdなど)を添加することにより、強誘電特性が飛躍的に向上することが知られ、特に、不揮発性メモリへの応用が期待されている。しかし、Si半導体との整合性から600℃以下での低温作製が要求されている。 本研究では、LaドープBiT【(Bi,La)_4Ti_3O_<12> : BLT】薄膜を、精密な組成制御が容易な化学溶液法を用いて、低温化プロセス(UVプロセシング、シード層の導入など)の確立および低温作製した薄膜の強誘電特性評価に関する研究を行った。 その結果、BLT前駆体膜へのエキシマUVランプ照射は、BLT薄膜作製の低温化に有効であった。UVランプを照射したBLT薄膜はUV未照射膜に比べ、焼成温度550℃と低温で結晶化した。さらに、BLT薄膜の強誘電特性は、UVランプ照射により著しく改善され、焼成温度550℃作製BLT薄膜において、残留分極値、P_r=4.4μC/cm^2、抗電界、E_c=72kV/cmであった。 以上の結果から、BLT前駆体薄膜へのエキシマUVランプ照射は、BLTの低温化、および強誘電特性の向上に有効であることがわかった。これより、エキシマUVランプ照射のプロセスは{化学溶液法により合成されたBIT系の低温化、強誘電特性の向上に有効であると同時に、FRAMへの応用に期待できるものと考えられる。
|