平成14年度は研究の初年度であったため、以下のような事項について調査、設計、設備整備、試験片製作、実験等を実施した。すなわち、(1)低温硬化炭素繊維/エポキシ樹脂複合材料開発の実情に関する調査と研究対象材料の選択:最近開発され、産業界に大きなインパクトを与える可能性を持つ複合材料、すなわち、100℃程度の低温・真空圧硬化と180℃までの温度によるポストキュアにより成形できる炭素繊維/エポキシ樹脂複合材料の開発状況について調査した。その中から、研究対象とする低温硬化、脱オートクレーブ真空成形、太いトウを採用した低コスト炭素繊維織物からなる研究対象材料を選択した。(2)試験片および試験方法の調査と設計:JIS、ASTM、SACMA等の試験規格を参照し、試験片形状と試験方法を決めた。なお、高温環境下の試験ではタブ接着に耐熱フィルム接着材を採用した。(3)試験計画の策定:試験実施のためのスケジュールを決めた。(4)不足研究備品の整備:当大学が保有する試験装置に対して、試験実施のために新たに必要となる試験治具、計測装置、データ収集・解析ソフトウェア等を整備した。(5)炭素繊維複合材料試験片の製作:静強度試験、疲労寿命試験、損傷観測用に使用する試験片を、材料メーカに依頼し、製作した。なお、試験片を切出すパネル供試体製作についても開発的要素が存在した。これらを含めて、経費の一部を材料メーカによる支援を受けた。製作した試験片総数は232個である。(6)室温における静引張試験の一部実施:試験片の製作に長時間を要したので、試験を実施する期間が短かったが、室温環境下において、無孔試験片と有孔試験片に対して、静強度試験を実施した。
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