研究概要 |
発注した低温硬化真空成形された開繊平織物炭素繊維複合材料による試験片が、平成14年度末に納入された。このため、今年度は以下のような内容の試験を実施した。すなわち、(1)低コスト簡易高温圧縮試験法の開発:通常の高温試験では、環境槽(恒温槽)を試験機に設置して実施している。しかし、この環境槽は値段が高く、大きな電力を消費し、さらに占有面積も大きい。このため、簡易高温圧縮試験方法として、シート状のシリコンラバーヒータとNAL方式の圧縮試験治具を用いる方法を開発した。(2)静強度試験の実施:室温と90、110℃の高温環境下において、無孔試験片と有孔試験片に対して,引張試験と圧縮試験を実施した。この結果、引張と圧縮では得られた結果の傾向が異なるとともに、本材料の静強度特性における特徴を明らかにした。また、円孔が存在する影響を評価した。一方、開発した簡易高温圧縮試験方法と通常の環境槽を用いた高温圧縮試験方法による試験結果を比較し、開発した試験方法の妥当性を確認した。(3)疲労試験の実施:(1)室温と90、110℃の高温環境において、有孔試験片に対する引張疲労試験を実施した。引張疲労試験においては、繊維の性質が優位であるため、温度にはほとんど影響を受けないことが明らかとなった。(2)室温環境下で側面を磨いた無孔試験片に対する引張疲労試験を行い、試験片側面に現れる疲労損傷の様子を、任意の繰返し数において、CCDマイクロスコープを用いて観察した。この結果についても、本供試材料に特有の疲労損傷が現れることを明らかにした。また、この損傷を定量的に評価することを試みた。
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