研究概要 |
逆ミセル法により合成されるZnS:Mn^<2+>ナノ粒子をシリコーン樹脂中へ分散させた蛍光シートの光吸収・蛍光強度の測定を行い、ナノ蛍光体の透光性がもたらす効果を評価・検討した。蛍光体量は4.5wt%で同一であるが,ナノ分散シートはバルク分散シートに比較して透明性が高い.このように,ナノ粒子の1次粒子サイズが数nmまで小さくなると,光散乱強度が著しく低下することがわかる.ナノ分散シートのZnSの吸収端はバルク分散シートに比較してブルーシフトしていることから量子サイズ効果が確認できる.蛍光波長580nm付近では,ナノ分散シートの透過率はバルク分散シートに比較して約2倍高い.これより,ナノ分散シートはバルク分散シートに比べ、シートを透過して取り出せる蛍光が多いことがわかる.励起光に対して90°の方向で蛍光を検出したところ、MgO板を用いた場合の蛍光強度は用いない場合に比べ,ナノで2.0倍,バルクで1.3倍増大する.MgO板の使用による蛍光強度の増大は,後方に生じた蛍光がMgO板により前方へ反射されて検出されたためである.これより,ナノ分散シートでは透光性が高いため,MgO板によって蛍光の取り出し効率が倍増されたと解釈できる. 以上より、逆ミセル法から得られた粒子を分散させたナノ分散シートは,バルク分散シートに比較して高い透過率を持つために,蛍光を効率よく取り出すことができる.この理由は,バルク分散シートでは後方散乱による損失が生じるのに対し,ナノ分散シートでは後方散乱が無視できるほどに低下するためである.このような透光性ドープ型ナノ蛍光体の特徴は多様な用途への応用が期待される.
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