約5nmまでの種々のサイズでかつ粒径分散の狭いダイヤモンド微粒子をモデル微粒子として、無電解析出法を中心に、電気化学プロセスによる金属膜中への微粒子、特に数〜数十nmサイズの微粒子の複合化(共析)機構を明らかにし、粒子の共析量制御に関する指針を得ることを目的に検討を行い、以下の成果を得た。 1.ナノサイズ微粒子の共析量に影響を与える因子の探索 (1)無電解析出条件 溶液の濃度、pHといった溶液組成、および温度、攪拌速度といった無電解析出条件を変化させ、ナノサイズ微粒子の膜中への共析量が異なる条件を探したところ、溶液濃度が希薄であるほど、pHおよび温度は低い方が、それぞれ粒子の共析量は増加する傾向が確認された。また、攪拌速度は共析量に影響しないことも明らかとなった。 (2)粒子側の条件 種々の粒径のダイヤモンド微粒子を用い、粒径と共析量の関係を調べたところ、粒径が大きいほど共析量が多くなることが見いだされた。また、塩析によるダイヤモンド微粒子の凝集は、共析量にほとんど影響を与えないことがわかった。粒子表面の親水性/疎水性が共析量に与える影響については、一定の傾向が見られないが、強吸着性のヨウ化物イオンを粒子表面に吸着させる際には、疎水性的な表面ほど吸着性が増加し、粒子とめっき膜表面との相互作用を強める効果が大きいことが予想された。 2.複合化機構の解析手法の確立 (1)イオン・粒子の吸着挙動の解析 水晶振動子法を高精度・高安定度化し、溶液に浸漬直後から継続的に精密な計測ができるようにセンサーおよび発振回路を改良した。また、界面への粒子吸着の測定法の確立を試みた。溶液の電気伝導度変化によりイオンの吸着挙動を検討したところ、クエン酸イオンは粒子表面に吸着する傾向を有することがわかった。粒子の電気泳動測定を行うための装置の製作を行い、測定の基本となる要件を確認した。 (2)膜の微細構造観察条件の最適化 透過型電子顕微鏡、電子線マイクロアナライザ等により、膜の微細構造を観察するための条件の最適化を行い、上記水晶振動子法との組み合わせにより無電解めっき初期析出の観察のための手法を確立した。また、その手法により、無電解ニッケルめっきの初期析出挙動を観察し、析出初期に大きな速度変化が現れることを見いだした。
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