研究概要 |
圧電性強誘電体微粒子分散による制振性能向上可能性の探索研究を行なってきた。 まず、圧電牲強誘電体セラミック自体のダンピング性能を評価した。これには、ねじり振動法内部摩擦測定に耐える形状の試料を作成しなければならない。特注金型ダイスを用いて粉末原料を加圧成型し、焼結後、所望の寸法に切断した。測定強誘電体は、BT[BaTiO_3],PZT[Pb(Zr_<0.52>Ti_<0.48>],PNN-PT-PZ50/33/17[0.50Pb(Ni1/3Nb2/3)O_3-0.33PbTiO_3-0.17PbZrO_3]の3種、測定振動数2〜3Hz、温度範囲100〜550Kで行なった。BTはこの温度範囲で、三方品→斜方晶→正方晶→立方晶(常誘電相)と相転移し,これに対応して鋭い内部摩擦ピークが観測された。ピークに対応して剛性率の谷が観測された。 次に、純銅と圧電牲強誘電体微粒子複合材料の作製を試みた。高周波溶解炉によるインゴット作製は、濡れ性不足ですべて失敗した。次に、強誘電体セラミック細片にNiを無電界メッキしてから銅片とともに真空溶解する方法を試みたが、これも不成功であった。最後に採用したのが、強誘電体微粉と純銅微粉とを混合後純銅パイプに充填し、溝ロール圧延と真空焼鈍を繰り返す方法である。これによって測定に耐える試料(Cu-PTおよびCu-BT)が得られた。 Cu-PT複合材料は、純銅試料に比して3〜5倍の内部摩擦値を示した。純銅の内部摩擦は昇温すると結晶粒界すべりが開始して急上昇するが、複合材料では500K近傍までほぼ一定に保たれ、その後遅れて増大する。純銅微粉のみを充填すると、2倍程度のダンピング性能向上がある。従って上記ダンピング効果には、強誘電体固有のものと、微粉充填による効果との両方が寄与していると思われる。BT微粉充填の場合も類似な効果が観測された。
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