研究概要 |
圧電性強誘電体微粒子分散による制振性能向上可能性の探索研究を行なった。 1.圧電性強誘電体セラミックスの内部摩擦 粉末原料を加圧成型し、焼結後、ねじり振動法内部摩擦測定用試料(約2×2×45mm^3)を切り出した。試料はBT[BaTiO_3],PZT[Pb(Zr_<0.52>Ti_<0.48>)O_3],PNN-PT-PZ50/33/17の3種、測定振動数2〜3Hz、温度範囲100〜550Kで行なった。BTはこの温度範囲で、三方晶→斜方晶→正方晶→立方晶(常誘電相)と相転移し,これに対応して鋭い内部摩擦ピークが観測された。ピークに対応して剛性率の谷が観測された。 2.純銅と圧電性強誘電体微粒子複合材料の作製。次の各方法を試みた。 (1)高周波溶解法:溶解によるインゴット作製を試みたが、銅・セラミックの濡れ性不足で混合せず。 (2)強誘電体セラミック細片にNiを無電界メッキしてから銅片とともに真空溶解する方法。(剥離) (3)強誘電体微粉と純銅微粉とを混合後純銅パイプに充填し、溝ロール圧延と真空焼鈍を反復。 (4)MA法:1μm径BT・100μm径Cu粉末をMA法によって配合混合・圧着し、以下1に準じて加圧・焼結・切断して、2×2×45mm^3の試料を作製した。 (1),(2)ではねじり振動法内部摩擦測定に耐える材料作製は困難であったが、(3),(4)の方法で成功した。 3.純銅・圧電性強誘電体微粒子複合材料の内部摩擦。 (3)法によるCu-PT複合材は純銅試料に比して3〜5倍の内部摩擦値を示した。純銅の内部摩擦は昇温とともに結晶粒界すべりによる急上昇がみられるが、複合材料では500K近傍まで一定に保たれ、その後遅れて上昇する。MA法によるCU-BT複合材もダンピング性向上を示し、かつBT相変態点でピークを示した。
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