研究概要 |
Al合金の強度向上のため強ひずみ加工法の一手法として簡便な温間多軸繰り返し鍛造(MAF)法を用い超微細結晶粒を有する材料の作製の改善とその塑性加工性の評価を目的とする。 H14年度:*数μm〜subμmの結晶粒を有する微細組織板材の創製は温間多軸鍛造加工と圧延の組み合わせ加工プロセスにより十分な成果を収めることが出来た。*微細組織材料の塑性加工の評価のため試作した二軸引張り試験機は設計仕様(荷重;5kN,軸のストローク;120mm、ひずみ速度;10^<-5>〜10^3、温度;〜600℃、試験片形状;十字型)に基づき、試験機として十分な精度を有することを確認した。また、試験片として十宇型試験片を使用するがその最適形状・寸法を決定した。 H15年:*十字形試験片により高温下で80%以上の変形を二軸応力下に付与することが可能.*単軸応力下ではひずみ速度の増加と供にm値は減少していくが,二軸応力下では1.7x10^<-1>s^<-1>までm値0.30以上を維持する.*同一粒径試料において単軸および二軸応力下では機械的諸特性に差異が生じ.焼なまし温度673Kにおいて単軸および二軸応力下でn値は0.33および0.26である。*粒径の変化により機械的諸特性に及ぼす影響は単軸応力下と二軸応力下では異なった.*試験温度673K、ひずみ速度8.3x10^<-2>s^<-1>で約60%変形した後,せん断変形を伴わない二軸応力下でも動的再結晶の形成が確認された.*試験温度673Kにて単軸応力下では引張方向に結晶粒が伸長し引張方向に対して垂直に空隙が生じるが,二軸応力下では結晶粒が等軸を維持し任意の方向に対して空隙が生じる. 以上、微細結晶粒を用いた超塑性変形においては負荷応力状態により変形の様子が異なるため、加工条件推定のための変形シミユレーションにおいては二軸応力下での加工評価パラメータを用いる必要がある。
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