研究課題/領域番号 |
14550691
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
石井 忠浩 東京理科大学, 理学部, 教授 (00084319)
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研究分担者 |
角田 勝則 東京理科大学, 理学部, 助手 (80307694)
矢島 博文 東京理科大学, 理学部, 教授 (10147506)
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キーワード | カーボンナノチューブ / 単層カーボンナノチューブ / ゼラチン / 複合膜 / 精製法 |
研究概要 |
カーボンナノチューブ(CNT)はナノメーター領域で現れる特異な物性などから大きな注目を集めている。しかし凝集性が強く、1本ずつのSWNTsを分離精製できないため詳細な研究が困難である。そこで、本研究ではSWNTsを生体高分子であるゼラチン、セルロース誘導体などの水溶液中に分散させることでSWNTsバンドルの細線化、精製法としての応用を検討した。 SWNTsはCarbolex社製のAP Gradeを使用した。これを加熱処理した後、超音波を用いてゼラチン水溶液中へ分散させた。一定時間静置後、分散液の上澄みを取り出した。分散液中のゼラチンを加水分解し、孔径3.0μmのPTFEフィルターで濾過し、SWNTsを捕集した。得られたSWNTsはTEM、SEM、TGAを用いて評価した。 未処理のSWNTsではアモルファスカーボンや触媒として使用した金属が含まれており、SWNTs自身も大きなバンドルの状態で存在していた。このSWNTsを空気中で加熱処理を行うとアモルファスカーボンやナノ粒子が燃焼除去されていることが観察された。次に超音波でSWNTsをゼラチン水溶液中へ分散させることにより安定なSWNTs分散液が得られた。TEM及びSEM観察から分散液中ではSWNTsがゼラチンによって被覆され細線化されていることが確認された。その後、加水分解によってゼラチンの分解除去を行うと、触媒粒子も除去できた。これは塩酸で処理することによって、金属触媒が酸によって溶解したためだと考えられる。以上の結果により、SWNTsを加熱処理後、ゼラチン水溶液中に分散、酸加水分解を行うことによってSWNTsの精製が可能であることが示された。また、セルロース誘導体などゼラチン以外の生体高分子についてもSWNTsを良好に分散させることができることが確認された。
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