研究概要 |
1.電気二重層キャパシタ材料である活性炭にRuO_2を少量担持し,これを180℃,30分間,空気中酸化を行うことで258 F/gから348F/gに容量増加することを確認した。しかし,活性炭とRuO_2担持活性炭のみでは導電性が低いため,その容量能力を十分に発揮していないと考えた。そこで,導電性を向上させるために導電材として分散剤を添加したケッチェンブラック(KB)を用い,更なる容量の向上を計った。 2.活物質として活性炭(比表面積:3000m^2/g)とRuO_2担持活性炭(Ru:4.9wt%)を使用し,分散材入りKBを加え,バインダーとしてPVDFを用い,ペースト状にしたのちドクターブレードでTi箔に塗布し,乾燥・加圧形成した後Tiネット集電体に圧着した。容量を求めるためのサイクリックボルタモグラムの測定は対極にAu板,参照極にHg/Hg_2SO_4,電解液に0.5MH_2SO_4水溶液を用いて3極式セルを作製し,走査速度2mV/sで行った。 3.分散剤を添加したKB含有活性炭とRuO_2担持活性炭は最適組成比において,キャパシタンスが,それぞれ258F/gから531F/g(88%増加),348F/gから652F/g(70%増加)に増加した。これはKBの効果であり,分散剤を添加することによりKBが活性炭粒子間のより広範囲に均一に分散し,孤立していた活物質をつなぎ合わせることにより,多くの導電性ネットワークが形成され導電性の向上につながり,活物質の利用効率が高くなったためと考えられる。交流インピーダンス法により,電気抵抗の減少,走査型電子顕微鏡写真により,活物質間にKBが均一に分散している様子を確認し,上記推測を裏付けた。
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