研究概要 |
電気二重層キャパシタは,高出力密度,半永久的なサイクル寿命を有しているが,二次電池と比べエネルギー密度が低い問題がある。そこで本研究では,その対応策として電極材料に使用している活性炭M30(比表面積;3000m^2/g)に対して,種々の導電材を添加し活性炭の利用効率を最大限に高め,高容量化を図った。導電材はケッチェンブラック,親水性アセチレンブラックを使用し,電極材料の分散性を向上させるため,両導電材を予めペースト状の懸濁液として活性炭に添加し塗布法によって電極を作製した。電気化学的評価として,サイクリックボルタンメトリー,SEM観察,BET表面積測定,充放電サイクル試験を行った。サイクリックボルタモグラムより得られた荷電電流値よりキャパシタンスを算出すると,ケッチェンブラックは添加量4wt%のとき最大値329F/gで,親水性アセチレンブラックは添加量9wt%のとき最大値359F/gを得ることができた。活性炭のみの電極と比較すると,各々27%,39%のキャパシタンスが増加した。キャパシタンスを増加させる要因として電極材料の分散性が向上したことが挙げられる。電極表面のSEM観察によると活性炭粒子間や粒子表面に導電材が多数存在していることが確認できたため,均一な導電性ネットワークが形成していると考えられる。また導電材を過剰に添加するとキャパシタンスが減少したため,電極材料の比表面積との関連性について検討した。電極材料の比表面積は導電材の添加量が最適以上になると急激に減少した。これは活性炭に多数存在する細孔を導電材が塞いでしまうためと考えられ,このことがキャパシタンスの減少を招いたと考えられる。また充放電サイクル試験より両導電材を添加した電極は100サイクル後でも容量保持率が98%と優れており,安定したサイクル挙動を示すことが確認できた。
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