研究課題/領域番号 |
14550694
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
丸山 典夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料研究センター, 主幹研究員 (00343856)
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研究分担者 |
塙 隆夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料研究センター, 副センター長 (90142736)
廣本 祥子 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料研究センター・研究員 (00343880)
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キーワード | Zr基バルクアモルファス合金 / フレッティング疲労 / 腐食挙動 / 疑似体液 / 生体分子 |
研究概要 |
アモルファス合金は、一般に結晶合金に比べ引張強度、耐食性に優れ、かつヤング率が低いため、小型化および高耐久性が要求されるポーンプレート、脊髄固定ステープル等の医療用デバイスへの応用が考えられている。これらのデバイスでは、歩行に伴い生体内で繰返し加重が加わわるとともに、デバイスに接触箇所があるとフレッティングが生じる。そこで市販の粉末固化成型アモルファス76.5Zr-3.5Al-7.5Ni-12.5Cu(mass%)合金を用いて、大気中と疑似体液中で疲労、フレッティング疲労特性および種々の疑似体液中における腐食挙動について調べた。 その結果・大気中および疑似体液中の疲労強度は差がなく10^7回疲労強度は約150Mpaであった。大気中の10^7回フレッティング疲労強度は疲労強度に比べて約1/3に低下した。しかし、疑似体液中の10^6回フレッティング疲労強度は、これまで行ってきた生体用金属材料の挙動とは異なり、疑似体液中で大気中の結果に比べ約2倍高い強度が得られた。フレッティング疲労強度に影響を及ぼす摩擦力などの力学因子、摩耗状態などには両環境の差はみられなかった。大気中のフレッティング疲労強度が疑似体液中に比べて低下したことは、大気中ではフレッティング損傷部が疑似体液中で全面接触であったのに対し局部的であり、そのため応力集中が高くなったこと。また、大気中では摩擦熱により局所的な結晶化が起こりフレッティング疲労強度は低下したと考えられる。 同合金を数種類の疑似体液に異なる時間浸漬し、合金のアノード・カソード分極試験を行った。溶液中のアミノ酸やタンパク質などの生体分子および浸漬時間が本アモルファス合金の耐食性に及ぼす影響について検討した。その結果生体分子の吸着層は溶液中の溶存酸素やイオンに対して拡散障壁になると考えられ、これにより本合金の耐全面腐食性および耐孔食性は増加した。一週間の長時間の浸漬により、耐全面腐食性は増加したが、耐孔食性は減少することが明らかになった。
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