研究課題
基盤研究(C)
Zr基バルクアモルファス合金を用いて擬似体液環境下でフレッティング疲労試験を行い、その挙動を把握するとともに、従来の金属材料と比較して、フレッティング疲労き裂発生機構の相違を破面観察、フレッティング損傷部の解析から検討した。さらに、Zr基アモルファス合金の種々の擬似体液中における腐食挙動を調べ、バルクアモルファス合金が生体用金属材料として使用される可能性について検討した。その結果、以下のことが明らかとなった。1)Zr基バルクアモルファス合金の引張強度は純Tiと同程度である。しかしながら、生体インプラント材料として重要なフレッティング疲労強度は、Ti-6Al-4V合金では大気中に比べて擬似体液中で低下するのに対して、本アモルファス合金では逆に上昇するという特異な挙動を示す。2)フレッティング疲労強度に及ぼす試験環境の影響は次のように説明できる。アモルファス試験片表面のフレッティング損傷部の形態が擬似体液中と大気中で異なり、擬似体液中では損傷がフレッティングパッドとの接触部全面にわたって均一に生じるのに対して、大気中では損傷が局所的に生じて応力集中をもたらし、その結果、フレッティング疲労強度が低下する。また、擬似体液中と大気中での試験片表面の酸化皮膜形成の違いがフレッティング損傷形成に影響を与える。3)擬似体液中での耐食性を調べるため、ハンクス溶液、細胞培養液など各種擬似生体環境に浸漬したZr基アモルファス合金の分極挙動を調べた結果、試験環境中にアミノ酸やタンパク質が存在すると全面腐食および孔食に対する抵抗が増す。以上の結果に加えてZr基バルクアモルファス合金は、ヤング率が約75GPaと一般の結晶性合金より低く、室温での塑性変形能が改善されれば、生体用構造材料として望ましい条件を備えていると考えられる。
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日本金属学会誌 69(印刷中)
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