研究課題/領域番号 |
14550703
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上西 啓介 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (80223478)
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研究分担者 |
廣瀬 明夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70144433)
小林 紘二郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70026277)
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キーワード | レーザー / 形状記憶合金 / ステンレス鋼 / 微細溶接 / 急冷凝固 / 生体材料 / 溶出試験 / 擬弾性 |
研究概要 |
ステントなど、生体用器具作製へのレーザー微細溶接の適用性を調べるために、SUS304およびTi-Ni系形状記憶合金細線のYAGレーザーによるスポット溶接を行い、溶接部組織、継手強度や耐食性、擬弾性特性に及ぼすレーザー条件の影響について調査した。 線材のスポット溶接では、線径及びパルス幅が、小さいほど溶融金属幅は小さくできるが、逆に溶接可能な入熱条件域は小さくなった。ステンレス鋼に対してTi-Ni形状記憶合金ではその入熱域が更に狭くなることから、より精密なレーザー条件の制御が重要となることが明らかとなった。 NT-E4溶接金属部は母材と同様のB2相であったが、母材の微細再結晶組織が溶融および熱影響によりデンドライト化したため擬弾性特性を示さなくなったが、溶融金属幅を狭くすることで試料全体としての特性はほとんど損なわれなかった。 このように溶融部が超弾性を示さないことから、引張試験においてはこの溶接部が応力集中部となり、レーザー条件の最適化を行ってもスポット溶接材は母材の70%程度の強度しか有さなかったが、それでもその強度はステンレス鋼線よりは高いものであった。 レーザスポット溶融で得られた知見をもとに、線材の重ね溶接および平行溶接を試みたところ、レーザ条件を最適化することにより、母材並みの良好な継手を形成できることが明らかとなった。 ステンレス鋼およびNT-E4形状記憶合金溶接材の生体適合性について調査するために、乳酸中での溶出試験およびEPR分極試験を行ったところ、その挙動は母材とほぼ同じであったことから、レーザースポット溶接プロセスが生体用器具作製プロセスとして適用可能であることが明らかとなった。
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