マグネシウム上への光誘起自己触媒析出法による金属薄膜の作製

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14550706
• 研究機関: 姫路工業大学
• 研究代表者: 八重 真治 姫路工業大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00239716)
• 研究分担者: 福室 直樹 姫路工業大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10347528) ; 松田 均 姫路工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60118015)
• キーワード: マグネシウム合金 / 光パターニング / 光触媒 / 耐食性 / 二酸化チタン / 活性化前処理 / 無電解めっき / ニッケル

研究概要

本研究では、マグネシウム上に緻密な金属薄膜を密着性よくパターニングして作製する新しい方法の開発を目的としている。これにより、マグネシウムの最大の欠点である耐食性を飛躍的に向上させるとともに導電性接点などの作製を容易にし、その実用材料としての機能性の向上と利用範囲の拡大を図ることが最終的な目的である。
今年度は、昨年度に引き続き、二酸化チタン超微粒子薄膜をつけたマグネシウム合金を無電解ニッケルめっき浴に浸して、紫外光照射による光電気化学的金属析出核形成と自己触媒金属膜成長によるニッケル薄膜作製とその光パターニングについて検討するとともに、本法に適する強アルカリ性めっき浴の開発や従来法である二液法触媒活性化前処理について検討した。一般に用いられている酸性から中性の無電解ニッケルめっき浴では、比較的耐食性の高い陽極酸化膜被覆AZ31マグネシウム合金ですら激しく腐食する。そこで、ヒドラジンを還元剤とする無電解純ニッケルめっき浴を用い、pH11.5で良好なパターニングを行うことに成功した。このめっき浴は、純粋なニッケル膜が得られることから、従来の合金膜にはない高い導電性やはんだ接合性が期待できる。このめっき浴の単純化を行い、EDTA等の環境負荷の高い錯化剤を必要としないめっき浴を開発した。酸化物などの非導電性基板上への無電解めっきの始動に用いられる二液法活性化前処理は、酸性溶液を使用するため、マグネシウム合金には不適当と考えられていたが、陽極酸化処理を施すことで適用可能となることを明らかにした。これに関連して、この前処理によって形成される触媒活性種について詳しく検討した。

研究成果

• [文献書誌] 福室直樹, 加藤陽平, 八重真治, 松田 均: "TiO_2光触媒を利用したマグネシウム合金上への無電解めっきの光パターニング"表面技術. 54・12. 1056-1057 (2003)
• [文献書誌] 八重真治, 濱田隆弘, 横山敦之, 伊藤 潔, 福室直樹, 松田 均: "ヒドラジンを還元剤とする無電解純ニッケルめっきの浴組成の単純化"表面技術. 55・1. 89-90 (2004)
• [文献書誌] 岡本尚樹, 八重真治, 山岸憲史, 三俣宣明, 福室直樹, 渡辺 徹, 松田 均: "無電解めっきの活性化前処理に用いられるセンシタイジング液の経時変化"表面技術. 55・4(印刷中). (2004)
• [文献書誌] 山岸憲史, 岡本尚樹, 鵜川博之, 福室直樹, 八重真治, 松田 均: "二液法により非導電性基板上に形成される吸着物と無電解Ni-Pめっき初期析出物の微視的形態"表面技術. 55・6(印刷中). (2004)
• [文献書誌] S.Yae, K.Ito, T.Hamada, N.Fukumuro, H.Matsuda: "Electroless Deposition of Bright/Black Pure Nickel Films from Simple Solution Consists of Nickel Acetate and Hydrazine"Proceedings of AESF SUR/FIN 2004 & INTERFINISH 2004 World Congress, Chicago, IL USA, June 28 - July 1, 2004. (印刷中).