研究概要 |
[目的]昨年度の研究で,1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド(以下EMIBと略記する.)に臭化亜鉛を溶解した有機系溶融塩にエチレングリコール(以下EGと略記する.)を添加したEMIB-ZnBr_2-EG溶融塩を用いれば,亜鉛が電流効率100%で平滑に電析することを明らかにした.本年度は,水溶液からは電析させることが不可能な高耐食性Zn-Mg合金めっき表面処理法を開発することを目的に,上記3成分浴にMgBr_2を添加したEMIB-ZnBr_2-MgBr_2-EG 4成分浴を用い,Zn-Mg合金めっきを試みた. [方法]電解は定電流電解法および定電位電解法で行った.電析挙動をサイクリックボルタンメトリーおよびカソード分極測定により検討した.得られた電析物をX線回折,EPMA,ICP発光分光分析,SEM観察および耐食試験により調べた. [結果]得られた結果は次のように要約できる. 1.カソード分極曲線から-0.8V[対参照電極Zn/EMIB-ZnBr_2-EG(45:10:45mol%)基準]よりも卑な電位では,電解浴が分解することがわかった.よって,電位-0.6Vで定電位電解を行ったところ,灰色を帯びた金属色のZn-Mg合金電析物が得られた. 2.Mgを2.8〜7mol%含有するEMIB-ZnBr_2-MgBr_2-EG 4成分浴を用いて,電位-0.6Vで定電位電解して得られためっき膜には0.3〜2.5mol%のMgが含有されていることがわかった. 3.電析物のX線回折測定の結果から,MgはMg_2Zn_<11>の形で含有されていることがわかった. 4.35℃の5mass% NaCl水溶液に浸漬して初期赤錆発生時間を測定したところ,Zn-2.5mol% Mgめっき鋼板は,Znめっき鋼板に比べて約18倍の耐食性を示した.
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