研究概要 |
本研究は,有機系溶融塩を用いて、比較的低い温度で、水溶液から電析できない金属を電析させること目的とした。有機系溶融塩としては、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド(EMIB)とトリメチルプロピールアンモニウム-(ビス)-トリフルオロメタンスルフォニールイミド(TMPA-TFSI)の2種類を用いた。電析させる金属としては、実用的観点から高耐食性であることが分かっている亜鉛-マグネシウム合金を選んだ。得られた結果を要約すると以下のようになる。 (1)溶融塩の価格および電析物の状態から見て、EMIB系浴はTMPA-TFSI系浴よりもはるかに優れている。 (2)エチレングリコール(E)またはグリセリン(G)を浴へ添加すると、めっきの平滑性、電流効率、マグネシウム含有量が飛躍的に向上する。 (3)電解温度は120℃〜140℃が適当である。 (4)電流密度は250〜300A・m^<-2>が適当である。 (5)したがって、EMIB-ZnBr_2-MgBr_2-E浴あるいはEMIB-ZnBr_2-MgBr_2-G浴を用いるのが適当である。 (6)EMIB-ZnBr_2-MgBr_2-E浴を用いてマグネシウム含量1.8〜2.5mol%のZr-Mg合金めっきを、EMIB-ZnBr_2-MgBr_2-G浴を用いてマグネシウム含量12〜25mol%のZn-Mg合金めっきを得た。 (7)得られた亜鉛-マグネシウム合金めっき被膜の耐食性は、亜鉛単独めっき被膜の13〜20倍であった。 (8)亜鉛-マグネシウム合金めっき被膜が高耐食性合金である理由を電気化学的に詳細に検討した。 (9)TMPA-TFSI系浴からは良好なめっき物を得ることができなかった。
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