平成14-15年度の2年間にわたり、放電プラズマを用いて高分子材料の分解と再合成の実験を行い、検討を行ってきた。その概要は以下のとおりである。 1.各種放電条件のもとにおける分解速度、効率の関係に関する調査 静電プローブ測定によってプラズマパラメータの変化を明らかにした。さらに、分光診断を行い、各種ラジカルとプラズマパラメータとの関係を明らかにし、効率よく分解を行える条件を見出した。 2.H_2Oプラズマによる分解生成物の分析 実際にプラスチックの分解実験を行い、得られた生成物をガスクロマトグラフにて分析を行った。その結果、炭素数が1-5のアルコール、アルデヒト、ケトン類が生成されていた。プラズマを生成する気圧を制御することで、プラズマパラメータを変化させ生成物の変化を調べたが、実験の範囲においては、生成物の種類に大きな変化は見られなかった。 3.プラズマガスの変化による分解状況の変化 H_2Oプラズマ以外でのプラズマでの分解実験を試みた。Arプラズマの場合には、中性ガス温度の上昇が少なく、プラスチック材料の蒸発が遅いため、極めて長い分解時間を要した。また、N_2プラズマの場合には中性ガス温度はH_2Oプラズマと同等であり、試料台からの蒸発は盛んであったが、化学的な反応が乏しく、反応容器管壁に多くのプラスチックが付着し、ほとんど分解できない。 4.H_2Oプラズマのガス流速と分解生成物の関係 ガス流量を大きく変化させて分解実験をおこなった。その結果、従来より低流量(約5分の1)の100ml/minで分解実験を行い、生成物の分析を行ったところ、従来は10種類程度の生成物が生成されたが、低流量ではイソプロピルアルコールが主成分その他は比較的少ない生成物がえられた。今後は、流速による変化をさらに詳細に調べていく予定である。
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