| 研究概要 |
超音波振動を付与して加工を行う研究は切削,研削,打ち抜き,引き抜きなどの分野で一部進められてきている,しかし,板圧延への超音波の利用はほとんどないのが現状である.最終的には金属間化合物等の難加工材料を自在に圧延加工することを目的とするが今回の実験ではステンレス304,430,純チタン,純アルミニウム,純銅を対象として超音波を利用した高効率な板加振圧延法の開発を行った.
1.超音波振動付加圧延の特性-2段ロール冷間圧延,ドライ(試験片寸法mm:2t×50w×2001)での荷重低減効果-
(1)超音波振動付加圧延により振幅3.3μmで,ステンレス304,430,純チタン,純アルミの圧延荷重低減効果が確認できた.(2)超音波振動付加により振幅4.95μmで,純銅の圧延荷重低減効果が確認できた.(振幅3.3μmでは効果が見られなかった.)(3)超音波振動付加の有無による圧延荷重の低減は,圧下率の増大により,その差が顕著になる.(4)ステンレス304,430で板厚(2mmと1mm)の違いにより超音波付加による圧延荷重の特性が変化し,荷重低減効果は2mmの方が大きい.(5)ステンレス304でロール速度(1.4m/minと2.0m/min)を変化させると超音波付加による圧延荷重の特性が変化し荷重低減効果は低速の方が大きい.(6)純銅でロール粗さを細く(0.5μm→0.1μm)すると,超音波付加による圧延荷重の特性が変化し,上述(2)を加えると,一段と荷重低減効果が大きくなる.
-2段ロール冷間圧延,潤滑油使用での荷重低減効果-
(7)板表面へ潤滑塗布圧延時の超音波による荷重低減効果はステンレス304以外は現れなかった.(8)純銅でロール表面への潤滑塗布と板表面への潤滑塗布では,超音波付加による圧延荷重の特性が変化し,ロール表面への潤滑塗布で超音波と潤滑油の相乗効果による荷重低減効果が確認できた.
2.超音波加振装置の適用法の改善
(1)板振幅を計測するため超高精度レーザ変位計(キーエンスLC-2400,-2430型)をロールバイト直前に設置した.
(2)板温を計測するため赤外放射温度計(キーエンスIT2-01)をロール出口に設置した.
共に圧延板の有効入力および加工発熱量の測定に今後威力を発揮するものと思われる.
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