研究課題/領域番号 |
14550714
|
研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
羽木 秀樹 福井工業大学, 工学部, 教授 (40117213)
|
研究分担者 |
澁谷 敦義 福井工業大学, 工学部, 教授 (40288337)
柴田 俊夫 福井工業大学, 工学部, 教授 (90001205)
|
キーワード | 腐食速度 / アコースティック・エミッション / その場測定 / 亜鉛合金めっき鋼板 / 腐食過程 / 溶存酸素濃度 / pH / 塩素イオン |
研究概要 |
本年度は、(1)溶融Zn-5Al合金めっき鋼板の腐食過程を調べる研究と、(2)AEによる腐食速度の"その場"測定の研究とに分けて研究を実施した。そこで、これらの研究成果を分けて記述する。 (1)試料には、市販のSS400炭素鋼板とSUS304ステンレス鋼板を用いた。試料にセルとAEセンサを取り付けた。このセルに電解液を入れて、自然腐食状態でのAEを検出した。大気曝露状態つまりセルに溶液を入れない状態においてはAE発生が無視できるように信号弁別レベルを設定、確認した後、セルに腐食液を入れて、AE累積発生数の時間変化を調べた。SS400炭素鋼試料が硫酸水溶液に接すると、その直後からAEの発生が認められた。また、AE累積発生数は時間にほぼ比例して増加し、単位時間当たりのAE発生数はほぼ一定であることがわかった。SUS304ステンレス鋼試料では、AE発生数が極めて小さかった。水酸化ナトリウム水溶液をセルに入れた場合には、硫酸水溶液の場合に比べてAE発生数は少なかった。SUS304ステンレス鋼に比べてSS400炭素鋼の方が、また水酸化ナトリウム水溶液の場合に比べて硫酸水溶液の方が腐食速度が大きいとされており、腐食速度が大きくなるほどAE発生も顕著になっていることがわかる。つまり、腐食速度の"その場"測定法としてAE測定を適用できる可能性があることが確かめられた。 (2)試料には市販のいくつかのZn系合金めっき鋼板を用いた。Zn系合金めっき鋼板は大気腐食環境での耐食性が重要であるが、その腐食環境は複雑であるので、本研究では比較的単純な腐食環境である水溶液環境での腐食挙動を調べることにし、大気腐食環境と水溶液環境での腐食に大きな相違をもたらすと推測される溶存酸素の影響を検討した。さらに、塩素イオンとpHが実環境での腐食で大きな影響を有すると推測されるので、NaCl水溶液と溶液pHの異なる緩衝液での各種Zn合金めっき鋼板の耐食性を評価するとともに、その腐食挙動を調べた。
|