本研究期間中に減圧レーザー誘起プラズマ発光スペクトル測定用の減圧チャンバーを製作し、また試料のサンプリングと励起を行うための高出力パルスレーザー光の伝送を誘電体多層膜ミラーを組み合わせた光学系と、光ファイバー(コア径:1mm)を使った場合について比較を行った。その結果、誘体電多層膜ミラーを組み合わせた光学系を使用した場合に試料上にレーザー誘起プラズマが生成でき、試料原子の発光スペクトルを観測することができた。そこで、緑及び灰色に塗装された鉄板やトタン板をスクラップ鉄のモデルとして使用しモデル実験を行った所、緑色の塗料中にはCrが含まれ、灰色の塗料中にはTiが含まれること、また、パルスレーザー光の照射回数を制御することにより深さ方向分析が可能であり、塗装膜及びバルクの元素分析が区別して行えることが確かめられた。この結果については論文、学会講演、及び国際会議において公表した。光ファイバーを使用した高出力レーザー光の伝送も試みたが、光ファイバーが破壊されてしまうため現時点では成功していない。そこで、中ぐらいのピーク出力のレーザー光を光ファイバーで伝送し、レーザーアブレーションにより試料のサンプリングを行い、試料原子の励起にはヘリウムグロー放電を用いる新しい励起源(トランプエレメント検出器)を開発した。この励起源と特性について調べ、論文、学会講演、及び国際会議において公表した。
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