研究課題/領域番号 |
14550721
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
伊藤 治彦 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70201928)
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研究分担者 |
齋藤 秀俊 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80250984)
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キーワード | アモルファスCN膜 / マイクロ波プラズマCVD / CNラジカル / CHラジカル / 発光分光 / RBS / 薄膜組成 / 薄膜構造 |
研究概要 |
本年度は脱水系におけるArの放電フロー中でCH_3CNを解離励起させ、CNラジカルを基板上に堆積させて窒化炭素膜を得るプロセスを調べ、気相反応場の状態と膜の物性の相関について[1]-[4]の検討を行った。 [1]CH_3CNの解離励起反応について高分解熊発光分光法を用いて、CN(B^2Σ^+-X^2Σ^+)およびCH(A^2Δ-X^2Π)発光スペクトルを測定した。その結果、両者の発光強度のAr圧力依存性が異なっていることが確認された。そこで、実測スペクトルを再現させるようにシミュレーショシ解析を行い、CN(B)状態およびCH(A)状態の振動回転温度を決定した。決定された各パラメータからCH(A)状態とCN(B)状態の分布比N_<CH(A)>/N_<CN(B)>を見積もり、水分を含んだ系の分布比と比較した。その結果、Ar圧力の上昇と共に分布比も上昇していたがその傾きは非常に小さいことが見出された。 [2]グリッドを装着してCN(B-X)およびCH(A-X)発光スペクトルを観測した。CH_3CNの解離励起反応はArの準安定原子(Ar^M)が関与した反応およびArイオン(Ar^+)と自由電子が関与した反応の二種類があると考えられていた。グリッドに負のバイアスを印加して荷電粒子を除去する事で、Arイオンと自由電子が関与する反応を制御しながら発光スペクトルの強度変化を調べた。その結果、グリッドに電圧を印加しない時では、Ar^Mが1に対してAr^+が5の割合でCN(B)状態の生成に寄与していることが見出された。水分を含んだ系ではCN(B)状態は主にArの準安定原子が関与する反応で生成すると報告されていた。しかし、本実験の結果から、水分を除去した場合にはArイオンと電子が関与する反応でもCN(B)状態が生成している事が見出された。 [3]脱水系でCH_3CN原料に用いてアモルファス水素化窒化炭素(α-CN_x : H)膜を作成し、膜の構造解析を行った。RBS法によつて窒素含有率を測定した結果、成膜したどのAr圧力の条件でも0.2前後であった。また、IR分光測定の結果、膜の構造にもAr圧力による大きな違いがないことが見出された。 [4]過去に報告された水分を含んだ系におけるα-CN_x : H膜の窒素含有率と分布比の関係に脱水系で決定した分布比を当てはめ、窒素含有率を予想したところ、最大で0.18程度の値と予想され、実測値とほぼ一致した。よって、反応場の状態を表す分布比と膜の物性を表す窒素含有率に、脱水系、水分を含んだ系を問わず、良い相関があることが示唆された。
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