研究概要 |
遺伝子の変異や多型は人それぞれの特徴を表わすことが明らかとなりつつあり、特に高密度多型といわれる1塩基多型(SNPs, Sinlge Nucleotide Polymorphisms)は薬剤代謝の個人差や慢性疾患などが判別できると言われている。このような技術が完成すれば有効で副作用のない薬剤の適切な選択と投与が可能になり、いわゆるTailor made医療へとつながっていくと期待されている。本研究は1塩基多型(SNPs)のクロマトグラフィー分離における生体認識機構と移動現象を解析し、新規高性能クロマトグラフィー分離システムを開発することを目的とする。自動クロマト装置で直線塩濃度勾配溶出実験を行った。陰イオン交換カラム(AIEC)と両性イオン交換体であるハイドロキシアパタイトカラム(HAC)を用いた。直線塩濃度勾配溶出曲線から溶出塩濃度I_Rと充填剤体積で規格化した勾配GHとの関係を求めた。勾配の傾きを変えた実験を行いGH-I_R曲線を作成し、曲線より吸着サイト数Bを求めた。 塩基数とともに溶出塩濃度とサイト数Bが増加した。また塩基数が10程度では、1塩基の変異で完全に分離できる場合も多く観察された。AIECでは、塩基数とともにほぼ直線的にサイト数が増加していることとタンパク質にくらべると分子量あたりのサイト数が多いことが特徴であった。HACでは、静電気的引力と反発力の関係で、吸着サイト数も溶出塩濃度のどちらもAIECより小さくなった。AIEC,HACのどちらにおいても二本鎖-一本鎖の構造変化を表わすメルト曲線に対応したサイト数と溶出塩濃度の変化が観察された。このような現象を積極的に利用することによりSNPs分離システムの構築が可能となることが示唆された。
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