平成14年度に製作した1Lの攪拌槽型バイオリアクターおよび平成15年度に製作した容積3Lの標準気泡塔型バイオリアクターによるXanthomonas菌を用いたXanthan生産実験により以下の現象が観察できた。 (1)培養の進行と共に急激に培養液中の溶存酸素濃度が減少し、約3〜5日後には0に達した。 (2)指数関数的に増加していた菌体数は溶存酸素濃度が0となると共に減少した。 (3)培養液中のXanthan濃度は培養開始後約8日後に最大濃度に達し、それ以降はむしろ減少した。 以上より、菌体数の増加に伴い総摂取酸素量が増え酸素枯渇により菌体の一部が死滅し、菌体数が減少し始めたと考えられ、本菌体は生存およびXanthan生産のために高い酸素摂取量を必要とすることがわかった。 そこで、平成16年度は気泡塔型バイオリアクターの酸素移動性能を調べるために、数種のXanthan濃度のモデル培養液を調製し、標準気泡塔においてk_Laとガスホールドアップの測定を行い、塔径を小さくしスラグ気泡流動状態を形成させるとより大きなkLaが得られることを示した。また、実験データを整理し、装置内のk_Laを±40%で推定できる相関式を提出した。 以上の成果をもとに、気泡塔でより高いk_Laを得るために、塔内に多孔仕切り板を挿入した分割気泡を考案した。分割気泡塔を用いてXanthan溶液によりk_Laを測定し、より高い酸素溶解性能を確認した。この技術により、分割気泡塔型バイオリアクターを用いれば標準的な気泡塔よりも高い菌体への酸素供給性能、デッドスペースの除去、容易なスケールアップが実現できると推察でき、高収率、低廃液が可能な環境保全型Xanthan生産装置の開発が見込まれた。
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