研究課題/領域番号 |
14550749
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
松山 秀人 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (50181798)
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研究分担者 |
金森 敏幸 産業技術総合研究所, 物質プロセス研究部門, 主任研究官
久保田 昇 旭化成ケミカルズ(株), 富士機能膜工場, 開発課長
寺本 正明 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (60026086)
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キーワード | 熱誘起相分離法 / ポリエチレン / 中空糸膜 / 非対称性構造 / 多孔膜 |
研究概要 |
1.非対称性構造を有するポリエチレン中空糸膜の作製 混練り押し出し装置を用いることにより、多孔性を有する中空糸膜を作製した。用いた高分子は平均分子量25万(HDPE25)と13万(HDPE13)の高密度ポリエチレンである。すべての場合に、膜内側近傍で孔径が大きく、外側近傍で小さいという非対称性構造であった。 3つの系、HDPE25/ジイソデシルフタレート(DIDP)、HDPE13/DIDPおよびHDPE25/流動パラフィン(LP)について、相図を作製した。DIDPを溶媒に用いた場合には、曇り点が観察され、相分離が液-液型で有ることがわかった。また、HDPEの分子量が低下するほど曇り点は減少した。一方、LPを用いた場合には、高分子の結晶化のみが起こることがわかった。 大きな分子量のHDPEを用いて作製した中空糸膜は、大きな孔径を有しており、透水量も大きいことがわかった。製膜時のバス温度が高いほど、またエアーギャップの長さが長いほど、透水量は大きくなった。DIDPを用いた方が、LPの場合より、高い透水量を示す中空糸膜が作製できた。これは、高い透水量を得るためには、高分子の結晶化よりは、液-液相分離が望ましいことを示している。 2.非対称性構造形成のシミュレーション 熱誘起相分離法による等方的な相分離構造形成過程について、spinodal分解機構に基づくシミュレーションを行った。相分離成長過程の光散乱実験結果とシミュレーション結果は概ね一致することがわかった。 高分子溶液の片面からの溶媒を蒸発させることにより高分子濃度勾配を形成させ,非対称性膜の作製を行った。溶媒蒸発時間が増すほどスキン層の厚みは、顕著に増加するものの、ガラス面での孔径はあまり影響を受けなかった。溶媒蒸発過程と相分離過程を組み合わせたシミュレーションを行った。ガラス面での孔径とスキン層厚みについて、実験結果とシミュレーション結果との一致は良好であった。
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