研究概要 |
気相中の有機塩素化合物を酸化分解除去するための気泡塔光反応器(UV-バブルカラムリアクター)を開発し,ガス吸収と酸化反応が同時に起こる現象を数学モデルを用いて解析した。モデル汚染物質として用いたテトラクロロエチレン(PCE)の液相への吸収速度および酸化分解速度は,見かけの反応速度定数(kapp)と容量係数(KLa)の比を用いた反応モデルでシミュレートできることがわかった。また,テトラクロロエチレン(PCE)ガス流量および過酸化水素濃度がPCE分解速度に及ぼす影響を実験的に評価し,さらに操作条件の最適値を求めるために,応答曲面モデル法を用いて統計学的解析を行った。本論文では全部で9通りの操作条件について実験データを取り,それらを代入し,描かれる等高線からPCE分解速度に及ぼす影響を調べた。その結果,全体的な傾向として,PCEガス流量1.5L/min以下においては過酸化水素濃度の影響が大きく,一方,PCEガス流量が1.5L/min以上では,PCEガス流量の影響が大きいことが示された。この統計学的解析により,PCEガスの分解速度が最大であり,かつリアクター出口におけるPCE濃度が最小になる操作条件は,PCEガス流量1.2~1.5L/min,過酸化水素濃度0.001~0.004mol/Lの範囲に存在していることが明らかとなった。
|