本研究の成果を目的に対応させた三つ、すなわち(1)メソポーラスモレキュラーシーブMCM-41の細孔径制御、(2)アルミノシリケートMCM-41の固体酸触媒の酸性質の制御、(3)ファインケミカルズ合成の固体酸プロセス化、に分けて要約する。 (1)について:各種炭化水素助剤添加の細孔径に及ぼす影響を系統的に調べ、アルキル芳香族とアルカンでは異なる挙動が観測された。すなわち、トリイソプロピルベンゼンを除くとアルキルベンゼンを添加すると添加量とともに細孔径は増大し、最大10nm以上に達するが、構造の規則性が著しく低下する。一方、トリイソプロピルベンゼンとアルカンの場合は添加により細孔径は1nmだけしか増大させることができないが、構造の規則性は保たれている。現在の所、構造の規則性が高いMCM-41では細孔径を最大5nmにすることができる。 (2)について:アルミノシリケートMCM-41は調製法により固体酸触媒としての活性が数倍異なる。調製の際にアルカリとして水酸化ナトリウムを用いず、アミンを用いると特に活性が高くなることを見出した。固体酸特性としては、ブレンステッド酸よりルイス酸が多く、またゼオライトに比べてブレンステッド酸の強度は低いことが明らかになった。 (3)ファインケミカルズの合成反応としては、各種の基質を用いたDiels-Alder反応、ジ-t-ブリルペルオキシド合成、フェノールとホルムアルデヒドからのビスフェノールF合成を行った。これらの合成において、工業的には均一系酸触媒が用いられているが、これらの触媒の固体酸プロセス化を検討した。その結果、固体酸特性を制御したアルミニウム導入MCM-41触媒が優れた活性を示すことを明らかにした。
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