平成15年度:2次元電気泳動によるリジン発酵ブロセスの解析 【目的】2次元電気泳動によるリジン生産菌内の遺伝子産物の定量・定性を行い、その経時的変化を追跡し、異なる培養状態における生理学的状態の解析を行う。本年度は、実際の培養サンプルを用いた2次元電気泳動を行い、その結果を解析した。 【実験方法】菌株にはリジン生産菌であるBrevibacterium flavum(ホモセリン要求株)を用いた。容積5Lの小型発酵層を用い培養を行った。培養開始12時間(増殖期)、14時間目(リジン生産期)にサンプリングを行った。2次元電気泳動の方法は前年度の検討結果に基づき行った。また、2次元電気泳動マップからのタンパク同定は、泳動結果の画像解析を行い、データベースをもとに行った。 【結果】 その結果、菌体増殖期で検出されるタンパク質のスポット数に比べてリジン生産期で検出されるタンパク質のスポット数が著しく減少していることがわかった。このことから菌体増殖期とリジン生産期の培養状態では、タンパク質発現状況が非常に異なることが明らかとなった。これは、リジン生産期ではスレ__<100>オニン飢餓状態にあるため、このような菌体の生育に不利な培地栄養条件が、菌体の生理機能を急速に低下させ、タンパク質の発現を大幅に減少させたと考えられる。また、これらの二次元電気泳動マップの比較から8つのタンパク質が増殖期とリジン生産期に同時に発現していたことが明らかになった。このように、二次元電気泳動マップから培養状態の相違と発現したタンパク質の情報を得ることが可能であった。
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