サンプリング機構と微小グルコースセンサを集積化して蚊を模倣した微小血糖値測定システムを作製し、その特性を評価した。ここでは特に長時間かけて徐々に外部液を吸引し、連続測定できるものを目指した。ポリイミド基板上に3電極系を薄膜パターンの形で形成し、作用極上に酵素(グルコースオキシダーゼ)を固定し、拡散制限膜としてpolyHEMA膜を、過酸化水素選択透過膜としてNafion膜を形成した。サンプリング機構には、温度・pH感応性を有するN-isopropylacrylamide/アクリル酸共重合ゲルを使用し、これをシリコーンゴムダイヤフラムを有する区画に収容した。ゲル合成時の組成を変えて膨潤・収縮挙動を調べたが、温度あるいはpHのみの変化では長時間かけてゆっくり吸引することは難しかった。しかし、このゲルに酵素グルコースオキシダーゼを固定したグルコース応答性ゲルを用い、グルコース溶液と接触させることにより、約10時間かけて徐々に吸引できるものを実現した。センサを形成した基板をサンプリングモジュールに結合し、またサンプル導入口付近に微小針を装着して、システムを完成させた。このシステムを37℃に保持すると、微小針を通して外部サンプル溶液を吸引することができ、外部グルコース濃度を変化させた場合には、センサの電流値に明瞭な変化が認められた。 このような微小システムでは、できるかぎりセンシング時の変換効率を上げるのが好ましい。そこで、作用極上ではなく、微小流路底に酵素を固定し、作用極との位置関係、流速等のパラメータを変えた時のセンサの挙動の変化についても調べた。
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