研究課題/領域番号 |
14550769
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
春木 満 日本大学, 工学部, 助教授 (30273593)
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研究分担者 |
森川 正章 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20230104)
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キーワード | アルカリフォスファターゼ / DNAリガーゼ / 低温菌 / 熱失活性酵素 / 低温活性酵素 / 組換えDNA実験 / グリーン化 |
研究概要 |
当該研究は、フェノール処理などの操作を不要とすることにより、組換えDNA実験のグリーン化を進めることを目指し、アルカリフォスファターゼ(APase)などの耐熱性酵素について、熱処理により除去できるような酵素の開発を行う。また、通常低温で行われる連結反応の効率化を目指し、低温において高い活性を有するDNAリガーゼの開発も行う。 SIB1株由来のAPaseについては、これまで大腸菌において分泌発現させることには成功しているが、酵素を大量に得ることは困難であった。そこで、N末端にHis tagを付加し、大量に精製する方法を試みた。まず、APase遺伝子断片を連結したpET28aを大腸菌に導入し、大量発現を行った。リゾチーム-EDTA法により菌体を破砕したのち、Hi-Trap Chelating HP(Niカラム)およびHi-Trap Qカラムを用いて精製を行った。その結果、1リットルの培養液から、約5mgの酵素を得ることができた。本酵素の諸特性を解析したところ、至適反応温度は約40℃であり、大腸菌由来酵素の約60℃と比較して約20℃低温側にシフトしていた。また安定性も大腸菌由来酵素が80℃で1時間処理しても60%の活性を保持するのに対して本酵素は80℃で5分処理するだけで速やかに失活した。本酵素は40℃での酵素反応において大腸菌由来酵素と比べて5倍以上高い触媒効率を示し、20℃でも十分な活性を維持していることがわかった。 低温菌DNAリガーゼについては、近縁でゲノム配列の解読されているS.oneidensisのDNAリガーゼの遺伝子の配列をもとにPCRプライマーを合成し、SIB1株のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行ったが、増幅は見られなかった。今後プライマーの配列を検討し、さらにPCRを試みる予定である。
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