耐低温性水素発酵菌を用いて、有機性廃棄物を原料にして水素を生産できる省エネルギー型水素生産プロセスを開発するために、耐低温性水素発酵菌の分離を行ったところ、Clostridium sp. E-73が得られた。本菌株は15℃の低温下において培養pHを5.5に制御すると、グルコース及び澱粉から各々2.1及び2.5mol-H_2/mol-glucoseの高い水素生産収率で水素を生産できることが分かった。 また、本菌株の生成するα-アミラーゼ生産のための最適な培養条件は、pH5.5、温度35℃であった。α-アミラーゼの分子量は約73kDa、至適pHは4.5、至適温度は45℃であり、0℃の低温でも最大活性時の約5%の活性を示した。本酵素はpH4.5から5.5の酸性域および40℃以下で安定であった。 さらに、澱粉粕に窒素源としてコーンスティープリカーを添加すると、Clostridium sp. E-73が良好に水素を生産できることが分かった。また、本菌株とEnterobacter aerogenes HO-39の混合培養下での反復回分培養による連続水素生産を行うと、培地中に還元剤を入れなくても水素を生産でき、12℃から15℃の低温条件下でも1.0から1.2mol-H2/mol-glucoseの収率で水素を生産できることを明らかにした。
|