研究概要 |
本年度は、申請者が提案する高速・高倍率濃縮分離システムの創出を目指し、下記の事項を検討した。その結果、予備的結果ながらシステム開発の見通しを得た。 1.均一液液抽出法に適合した分析法の選択 均一液液抽出法とキャピラリー電気泳動法(CE)との融合による高感度分析システムに関する検討を行った。本システムに適合する界面活性剤として、炭化フッ素系化合物(PFOA, PFOS)の有用性を見出した。また、大気・環境水における内分泌撹乱物質として認定されているベンズピレンをはじめとする多環芳香族化合物(PAHs)を分析モデルとすることによって、CEの諸条件について詳細に検討を加えた。その他、均一液液抽出法とマイクロプレート比色法との融合を実現するために機能性マイクロプレートの設計・製作を行った。 2.固相抽出によるサンプル水の高速処理と均一液液抽出法との融合 コットン固相抽出法として青綿法に着目し、環境水中のPAHsに照準を合わせた濃縮分離システムを構築した。特に、PAHsの吸着・脱着挙動を明らかにした。 以上の研究成果に基づき、青綿法/均一液液抽出法/CEオンライン濃縮法によって構成されるTriplex concentration system(TRICOMと命名)を開発した。全操作時間は1時間以内、最大濃縮倍率は1,000万倍(20L→2μL)である。今後、環境試料に対して、画期的な分析技術になるものと期待される。
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