研究概要 |
まず酵素スイッチのスイッチング特性の評価と機能の向上を検討した。具体的にはグルコースオキシダーゼと西洋ワサビペルオキシダーゼを同時固定化したポリアニリン膜を2つの微小電極間に形成して応答を評価した。フローシステムによる操作を行うことにより、グルコース添加によるオフ操作、電位印加によるオン操作ともそれぞれ3分程度の短時間で行うことができるようになり、またオフ,オンの繰り返しも高い再現性が得られた。また添加するグルコース溶液の濃度とドレイン電流の減少値との間には良好な相関関係が得られた。同様に酸化酵素に乳酸オキシダーゼを用いて乳酸スイッチを作製した。ポリアニリン膜の導電性はpHに大きく依存するので、乳酸のようにpHが変化する基質ではバッチ測定できなかった。フロー測定においても一時的なドレイン電流の増加が見られたが、最終的には酵素反応のみに依存したドレイン電流の減少が見られた。 次に酵素スイッチの集積化を行った。測定は本補助金により本年度導入した8チャネルマルチポテンショスタットを用いた方法または、リレーを用いて各チャネルを走査して測定していく方法により行った。ホトリソグラフィーにより作製した金薄膜集積化微小電極を用いて4組、7組または9組の酵素スイッチ(グルコーススイッチ)を一つの基板上に集積した集積化酵素スイッチを作製し、過酸化水素及びグルコースに対する応答を調べたところいずれも良好な応答を示し、酵素スイッチの集積化が可能であることがわかった。
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