研究課題/領域番号 |
14550782
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
廣川 健 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30116652)
|
研究分担者 |
伊藤 一明 近畿大学, 工学部, 助教授 (80151497)
育田 夏樹 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00274118)
|
キーワード | キャピラリー電気泳動 / 過渡的等速電気前濃縮 / 電気的試料注入 / 微量分析 / 高精度分析 / 高感度分析 |
研究概要 |
キャピラリー電気泳動法(CE)は絶対感度・分析の迅速性・メインテナンス・ランニングコストなどの点で優れた分析法である。本法はごく少量の試料・分析試薬しか必要とせずローエミッションであるため、次世代の分析法として期待されている。近年これらの特徴をより効果的に発揮させる目的で装置の小型化が進み、マイクロチップ電気泳動(MCE)装置が市販されるようになった。しかしながら小型化により導入可能な試料体積および分離場有効長の減少は避けられず、分析精度・濃度感度が低いというCE・MCEの欠点の克服が大きな課題となっている。 本研究の第1の目的であるキャピラリー電気泳動の高精度化ついては、過渡的等速電気泳動-キャピラリーゾーン電気泳動などの前濃縮を利用する系について、泳動時間ではなく移動産軸を横軸とする変換式を考案し、高い再現性・および装置間の互換性(データの標準化)が可能であることを示した。またMEKCについては容量比(k')を横軸とする新しい非線形変換法を開発し、高精度化・データの標準化に成功した。 第2の目的である高感度化については、過渡的等速電気泳動法-キャピラリーゾーン電気泳動(transient ITP-CZE)および電気的試料注入-過渡的等速電気泳動法-キャピラリーゾーン電気泳動(Electrokinetic supercharging-CZE)の実験条件を最適化し、高感度化を達成した。前者は濃厚な塩類にも適用可能であり、海水中の微量ヨウ化物イオンについてサブppbレベルの検出濃度下限を達成した。また後者については希土類イオンについて同様な感度を達成し、希土類鉱石中微量成分の分析に適用できる事を示した。現時点でCZEの感度はICやICP-AESに比肩できるところまで到達したと考えている。なおこれらの高感度化法はMCEにも適用でき、DNA断片やSDSタンパク質の分析に適用できることも明らかにした。
|