研究概要 |
1.生体関連物質の絶対純度評価方法の開発 生物学的(臨床化学)分析の信頼性を維持するトレーサビリティ体系を確立するため,基準法の一つである電量滴定を利用してコレステロール及びクレアチニンの純度測定法の開発を試みた。具体的には,酵素反応により生成した過酸化水素またはアンモニアを,弱塩基性電解液中,陽極酸化で電量発生させた次亜臭素酸イオンで滴定して間接定量する方法を検討した。滴定終点は定電圧電流法により検出した。酵素反応に影響する酵素量,pH,反応の温度と時間などの諸因子について詳細に検討し,それらの条件を最適化した。実際に,市販試薬の純度測定に応用し,ほぼ満足な精度と正確さで分析できることを明らかにした(昨年の秋期学会において一部研究発表済み)。空試験について更に考察を加え,高純度試薬の純度を定常的に値付けできるような評価体制を構築する。 2.チオ硫酸ナトリウムを利用する電量ヨウ素滴定法の開発 今年度はまずチオ硫酸ナトリウム溶液の安定性について調べ,大気雰囲気の影響,安定剤の添加などに起因する溶液濃度の変化を追跡している。なお,容器材質による影響は少ないと思われる。 3.ストリッピング分析法を利用する絶対測定 分析対象元素に銅を選び,前濃縮過程で作用電極上にすべての銅が析出する条件について検討した結果,超音波照射では予想した充分な攪拌効果が得られなかった。全電着を狩野にするための条件について更に検討する必要があった。
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