研究概要 |
1.生体関連物質の絶対純度評価方法の開発 基準法の一つである電量滴定を利用してコレステロール及びクレアチニンの純度測定法の開発を試みた。コレステロールではコレステロールオキシダーゼの触媒作用により酸化生成した過酸化水素を,クレアチニンの場合はクレアチニンディミナーゼを用いて生成したアンモニアを,臭化物を含む弱塩基性電解液中,陽極酸化で電量発生させた次亜臭素酸イオンで滴定して間接定量できる方法を開発した。滴定終点は定電圧電流法により検出した。酵素量,反応時間,反応温度など酵素反応に影響する諸因子を詳細に検討してそれらの条件を最適化した後,市販のコレステロール及びクレアチニン試薬の純度測定に適用し,十分満足な結果が得られることを立証した(昨年の秋期学会において一部研究発表)。以上より,臨床化学分析の信頼性を維持するトレーサビリティ体系を確立できた。 2.チオ硫酸ナトリウムを利用する電量ヨウ素滴定法の開発 溶液調製後,茶褐色のポリエチレン瓶中に3週間程度保存したチオ硫酸ナトリウム水溶液は,60日間にわたり安定であった。この溶液を用いてヨウ素酸カリウム標準物質の純度を間接電量ヨウ素滴定したところ,ほぼ満足な純度結果が得られた。 3.ストリッピング分析法を利用する絶対測定 ストリッピングボルタンメトリーを利用した絶対分析法の開発については予期した結果を得ることは極めて難しかったが,この方法の高感度・高精度分析への適用に関しては十分な知見が得られた。
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