研究概要 |
電導性原子間力顕微鏡と単一光子計測系を組み合わせた単一分子空間解像度を持つ新しい走査型プローブ顕微鏡を開発することを目的とした。今年度は、装置の開発を行った。装置は、電導性原子間力顕微鏡(AFM)の部分と光検出系の部分から成る。電導性AFM部分は、微動機構として圧電アクチュエーター(三軸スキャン用)、低ノイズピエゾドライバー、フィードバックコントローラーを組み合わせて構成した。探針としては、白金コートしたシリコンナイトライド導電性カンチレバーを用い、圧電アクチュエーターに取り付け、x, y, zの三軸の微動、並びに光てこ法による試料とチップの距離制御を行った。超高真空排気システムを用いてマイカ上にアニール真空蒸着した原子レベルで平坦な金電極上に共役系分子を結合させた有機分子自己組織化膜(SAM)を試料として用いた。電導性カンチレバーを用いてSAMの電導性を画像化すると共に電導特性を明らかにした。光検出部分は、光電子増倍管を用いて、試料に電導性探針を接触させバイアス電圧を印可し、試料に電流を流して発生する発光像を現有の単一光子計測システムを用いて測定する。電導性探針を2次元で走査することにより、分子形状、電導像、発光(スペクトル)像の3像を同時にマッピングする。今後、電圧-電流測定と電圧-発光強度測定を行い因果関係を探り、1個の分子を使った発光素子の実現を目指す。
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